経営理念に行動指針、コンピテンシー要件定義と、最近は、様々なアプローチで「会社の求める人材像」を社内外に提示する企業が増えています。
経営者の想いが強ければ強いほど、定義書の種類が増え、項目が細分化し、説明や解説がとても詳細になることも。
コンサルタントという立場から見ると、社員のマインド形成や人材育成に力を入れる経営者の姿勢はとても素晴らしく、見習うべきと思うことも多いのですが、
社員の反応はどうも違うようです。
「いろいろ言われても覚えられない」
「細かすぎて、何を言おうとしているのかわからない」
「文字で書かれてもイメージがわかない・・・」
など。
強い想いやメッセージをこめて作ったビジョンや理念も、残念なことに、その真意を100%伝え、理解してもらうのはなかなか難しいようです。
かといって、何も言わなければ自分たち「らしさ」が失われる一方だし、簡単な言葉にしてしまうと、そこに込めた深い想いがしっかり伝わるのか不安・・・。
行動指針をはじめとした“人材要件定義”というのは、いつも、
わかりやすくするための「シンプルさ」
と、伝えたいことを確実に伝えるための「具体性」とのせめぎ合いですよね。
そこで大事なのが、現場でのOJT。
今回は、会社の求める社員像、プロフェッショナル像を共有するための一つの手法をご紹介します!
♪「○○マン」で社員像共有♪
とある会社の人事部のミーティングに立ち会っていた際、人事部長から、このような言葉が発せられました。
「その対応は、○○人事としては、適切ではなかったよね」
(注:○○=その会社の社名)
その言葉を聞き、同席していた人事メンバーも納得顔。
その後、どう対応すべきだったのか、今後はどう対応すべきなのか、といった方向に議論は進んだのでした。
“○○人事”。
これは、その人事部門全員の合言葉のようなものです。
実は、現人事部長が就任したとき、人事部門としてのビジョンやミッションを全員で議論し、更に、それを実現するために、自分たちにはどのような行動が求められるのか、を、全員で考えたのだそうです。
そのときの拠り所が、「ザ・○○人事」というキーワード。
たとえば、「ジャニーズ系」というと、なんとなく人物像がイメージできるように、あるいは、「MBAホルダー」というと、多くの人が同じようなイメージを抱くように。
そんな、ある特徴をもった人事マン・人事ウーマンの代名詞を「ザ・○○人事」というひとつの言葉に込めたのだそうです。
そして、イメージの共有のために、メンバー全員で時間をかけて「○○人事」で表現される、自分達らしい人事のあり方を議論したのだとか。
見た目から立ち居振る舞い、言葉遣いに、根底にある価値観まで。
「ザ・○○人事」というひとことの中には、様々な人物要件が込められているとともに、理想を追求するメンバーたちの誇り(プライド)も込められているのです。
何かあるごとに、「○○人事として適切か」「○○人事としてどう対応すべきか」といった、判断基準にも使われる言葉。
シンプルな言葉だからこそ、日常的に使える。
自分達で定義したからこそ、人物像をクリアにイメージできる。
もちろん、人事だけでなく、企業全体にも応用可能です。
「その行動は○○マン・○○ウーマンとして適切なのか?」
日常的にそのような会話が飛び交えば、行動指針や人材像の浸透はもう間もなくです。
シンプルな言葉に、社員みんなで意味を込め、日常会話で使う。
社員像イメージの共有のために、チャレンジしてみてはいかがですか?
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