株式会社インディプロス

【番外編】震災に見たフォロワーシップ

【番外編】震災に見たフォロワーシップ


※このコラムは、2011年4月配信のメルマガでお届けしたものです

早いもので、東日本大震災から1ヶ月が経ちました。

その間、本当にたくさんのことを感じ、たくさんのことを考えたのですが、その中の一つが、「フォロワーシップ」ということでした。

大津波による大きな損害や電力不足など、私たちが思っていた以上に、震災の影響が広範囲かつ長期にわたるものなのだということがわかり、「自分たちができることを」という考えのもと、多くの方が、節電や寄付などの協力を行ってきたことと思います。

特に節電については、電力供給不足による「大規模停電の危険性」が報じられて以降、数時間で使用電力量を抑え、停電を免れるなど、そのスピードと一人ひとりの協力行動には目を見張るものがありました。

しかも、単に一人ひとりが節電、募金をするだけでなく、周囲に節電を呼び掛ける人、自ら募金箱を持って街頭に立つ人など、出来る範囲の中で、少しずつ行動を広げる人も増えたように思います。

ジャニーズのイベントに集まった女子高生も、甲子園球児も、そして、コンビニにお菓子を買いに行った小学生さえも・・・。

これほど「自分にできることは何か」という言葉を聞いたことはありません。

そしてこの一連の行動が、見方によっては、「フォロワーシップ」とも言えるのではないかと思ったのです。

一体感を作るのが難しい、一人ひとりの自発的な行動を引き出すのが難しいと言われる昨今の組織状態ですが、様々なメディアを通して伝わってきた今回の市民一人一人の行動の中に、そのような組織の問題を解決するヒントになることがあるのではないか・・・と、漠然と感じました。

たとえば、上記のような一人ひとりの行動を引き出した要因としては、

 ◆情報公開のオープンさ
 ◆複数の非公式リーダーの存在とインターネット
 ◆行動と結果の明確な連動性
 ◆「一人ひとりができることを」のメッセージ
 ◆ユーモアによるキャンペーン

などが考えられると思います。

情報公開のオープンさに関しては、原発問題では批判される部分も多いようですが、津波被害や停電の映像、文字による詳細な情報は、一人ひとりの心を動かし、行動につなげた大きな要因だったと思います。

また、twitterやSNSを通して各人が「信じられる人」を見つけ、その人が発信する内容を通して自分がどう行動すべきかを考えた人も多く、圧倒的な一人のリーダーというよりも、それぞれの「自分にとってのリーダー」が大きな影響力を持っているのだということも目の当たりにしました。

さらに、一人ひとりの行動がどんな結果をもたらすのか、という行動と結果の明確な連動性が見えて行動を起こしやすかったという側面もあったでしょうし、

「一人ひとりができることを」のメッセージが随所で発信されていたのも、協力行動を引き出す雰囲気醸成に貢献したと思います。

「○○作戦」と呼ばれるユーモアを交えたキャンペーンがたくさん生まれたことも印象的で、これが、もっとも行動力のある若年層の心を動かしたということもあるかもしれません。

もちろん、上記のポイントは、過去最大級の危機であるという前提があっての効果だとも言えますし、全ての状況において、同じ結果がもたらされるとは限りません。

でも、人の心を動かす要因には、どこか共通点があるのではないかとも思っています。

これからまだ暫く、経済状況の悪化が進むのではないかと言われている中、企業としても、なんとか全社一丸となって本業に集中したい時期であることも事実です。

社員のフォロワーシップを引き出すためのヒント、これまでの1ヶ月の中にも、たくさん散りばめられている気がします。

これまでを冷静に振り返ってみて、事業の勢いや組織の一体感を取り戻すための何かを、探してみてはいかがでしょうか。

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