株式会社インディプロス

【8】“組織・人材ビジョン”の考え方

【8】“組織・人材ビジョン”の考え方


先日、とある情報番組のコメンテーターが、今の与党の姿勢について、

「○○手当や○○税など、枝葉の施策の議論ばかりが続いているが、
 そもそも日本をどうしたいのか、何を実現しようとしているのかといった、
 根幹の思想の部分の確認が必要だ!」

ということをおっしゃっており、まさにその通りだなぁ、と共感しました。

何かの仕組みや制度を構築する際、全ての議論や判断の拠り所となる
根幹の思想の部分=「コンセプト」や「ビジョン」が重要なのは、いまや常識
とも言えることです。

そして、それはもちろん、人事の世界でも同じこと。
根幹の思想の部分とは、人事で言えば「組織・人材ビジョン」です。

つまり、
 
 どのような人材集団でありたいのか、
 どのような状態の組織を作りたいのか、

ということですが、その具体的なイメージを描くことは、人事制度やその他の仕組み
においても、何よりも大切なことなのです。

前回のコラムで、時間をかけることの重要性についてお話しましたが、

いくらじっくり時間をかけて検討する場を設けたとしても、

この組織・人材ビジョン(=議論の拠り所/最も重視すべき点)が明確になって
いなければ、議論は堂々巡りで、着地点が永遠に見いだせないことにも
なりかねません。

ただ実際には、そのようなビジョンやコンセプトをシンプルに描くことは意外と
難しいものです。

「こんなふうな組織だといいなぁ」という漠然としたイメージはあったとしても、
それを端的な言葉(や絵)にあらわしたり、それを役員や社員との間で
共有したりすることは、なかなか難しいですよね。

では、通常どのようにして組織・人材ビジョンを定義していくのかというと、
ひとつは、私たちのようなコンサルタントが入り込み、
社員のヒアリングや意識調査などを行った上で、その会社の人材の特徴や
根付いている風土を分析して言語化・チャート化するという方法があります。

ただしこの方法は、時間もコストも大がかりで、なかなか踏み切れない場合も
多いですね。

そこで今回は、簡易バージョンの組織・人材ビジョンの設定法をご紹介したいと
思います。

通常は、クライアント先の役員や事業リーダーの方々と、数回のミーティングを
行いながら議論を進めていきます。

社員の主体性を重視する場合は、社員の代表の方々を集めたワークショップを
行っていっても良いですね。

そこでは以下の3ステップで議論を行い、徐々にビジョンをクリアにしていきます。

【1】会社のあり方
  会社と社員の関係はどのようなものでありたいのか、つまり、

  「他のどの会社よりも成長できる場」
  「自己実現を最大限支援してあげる場」

  など、会社は社員にとって、どのような『場』でありたいのか、を明確にします。

【2】組織のあり方
  上記のような『場』において、どのような組織の雰囲気・風土を形成したいのか、
  を明確にします。

  たとえば、同じ「成長できる場」でも、
  「チーム・利他を最優先する」という風土と、
  「プロフェッショナルとして個々人の競争を最大限誘発する」
  という組織風土では、組織や人材のあり方は大きく異なってきます。

【3】個々人のあり方
  個々人に関しては、以下の2点について具体化します。

  ○最も重要視したいコンピテンシー:
   何よりも第一に社員に求めたいスキルや行動様式、思考様式、
   価値観など(PDCAの実践力、顧客志向性など)

  ○ワーク&ライフスタイル:
   仕事第一の価値観で統一したいのか、プライベートも謳歌する生活
   を送ってもらいたいのか、など、ワークライフバランスのあり方

以上のようなポイントについて、世の中の常識にとらわれず、自由に議論しながら、
自分たちが最も大切にしているものを絞り込み、最後には、シンプルな自分たちの
言葉へと落とし込んでいきます。

それがそのまま組織・人材ビジョンへとつながっていくのです。

ああ、自分たちは、こういう組織を目指していたんだなぁ・・・ということが、
徐々に浮き彫りになってくると思います。

ポイントは、常識や枠に囚われず、自由にイメージを広げること。

組織・人材ビジョンが必要だな、と思ったら、ぜひ社内でワークショップなどを
開催してみてはいかがでしょうか。

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