第一回目の今回は、リーダーシップを発揮するための一番ベースにあるもの
＝リーダーシップの源泉についてお話ししたいと思います。
この話をするときには、まず初めに、「リーダーシップ」の定義について触れて
おく必要があります。
というのも、ひとことで「リーダーシップ」といっても、いろんな場面で、
いろんな意味合いで使われている概念なので、人によってイメージするものが
違うかもしれないからです。
「リーダーシップ」という言葉のよくある使い方として、
「組織やチームのリーダーに求められる能力や資質」
（≒組織マネジメント能力）
を示すことがあります。
「管理職にリーダーシップ研修を行いたい」というご相談を受けるときには、
おそらくこういう意味で使われているのだろうと考えて対応しています。
一方、このコラムで言う「リーダーシップ」は、もう少し広義で捉えています。
ここで言うリーダーシップとは、
「目的や目標達成のために自ら動き、その行動が周囲に影響を与え、周囲を動かす」
という事象のことです。
極端に言えば、本人は周囲を動かそうと意図していなくても、
「結果として」周囲がついてきたとか、周囲が勝手に動いてくれたとか、
そういう現象であっても、「リーダーシップを発揮した」と言えるのではないか、
ということですね。
前者の定義と後者の定義の違いは、
前者のリーダーシップは、役職やポジションが限定されるのに対し、
後者の定義のリーダーシップは、役職や職種、立場に関わらず、
どんな人でもリーダーシップを発揮する余地があるということだと思います。
もちろんそれは、入社して間もない新入社員でも同じ。
たとえば、何か調べごとをしてほしい、という上司からの指示に対し、
一人で黙々と書籍やインターネットで調べるのも一つの手ですが、
社内の専門家や先輩にアドバイスを求めて自分から声をかけ、協力を得るなど、
どんどん周囲を巻き込んでいくことも一つの手法です。
そして、それは、「調べごとをする」という目標の達成に向けて、
自分から行動を起こし、結果として周囲を動かしているという点で、
見方によっては既にリーダーシップを発揮していると言えるのではないか、
ということです。
ちなみに私はこれを、リーダーシップの第一段階と呼んでいます。
小さなテーマで周囲を動かせない人が、大きなテーマで組織全体を
動かしていけるわけがない。
そういう意味では、新入社員や一担当者の時代から、どれだけ第一段階
のリーダーシップを発揮してきたか、が、より高次なリーダーシップを
発揮していく上ではとても重要な点だと思います。
よく、「リーダーシップ」というと、日本を代表する経営者や政治家を
イメージし、「壮大なビジョン」とか、「巧みな人心掌握」とか、
そういう高度なスキルを思い浮かべることがありますが、
それはあくまで「高度な」リーダーシップ、あるいはリーダーシップ
の中の「一つのアプローチ」に過ぎません。
経営者や政治家は、より大きな目標や目的を持っているから、
結果として「ビジョン」や「組織マネジメント」といった高度な
リーダーシップが必要となったということなのだと思います。
その根底には、「目的や目標を必ず実現したい」というシンプルかつ
強い想いがあり、その想いに忠実に、素直に行動した結果、
上記のような高度なリーダーシップを発揮することになった、とも
言えると思います。
「目的や目標を必ず実現したい」というシンプルかつ強い想い・・・
それがリーダーシップの本質であり、リーダーシップの源泉なのではないでしょうか。
そう考えると、「管理職にリーダーシップがなくて・・・」と
悩んでいる組織や企業の場合、管理職になる前の若年層のうちから、
ちゃんと目的意識や目標達成意欲を植え付けるマネジメントや
人材育成を行えているのか・・・という自問自答をする必要がありそうですね。
リーダーシップは一朝一夕には成らず。
まずは第一段階から、徐々にリーダーシップを発揮できる場面を
創っていくことが、とても大事なのではないかと思います。
ちょうどこの時期、各企業では、新入社員の受け入れ準備が本格化
していることと思います。
将来のリーダー育成のために、
「目的や目標を必ず実現したい」というシンプルかつ強い想い
をいかに醸成していくことができるか・・・という観点からも、
新入社員教育やマネジメントのあり方について、検討してみては
いかがでしょうか。
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